先輩、後輩、同期、自分の4人で土手歩き続行中。
荒川です。
辺りが暗くなるにつれ
ビルや東西線の灯りが
目立つようになってきました。
「下、降りてみる?」
Google Map では通れないことになっていますが
「キョリ測」というアプリではルートを描けました。
高架下に整備された道があり、通れるのです。
釣り人や、自転車で通る人は何人かいます。
「人が歩く場所じゃねぇ」
下り坂だったので、全力で走りました。
「全力坂ーーー!!」
「えっ、こわっ、なに、いきなり!?」
「テレビ朝日で深夜に放送している『全力坂』って5分番組、知らない?」
「知らないよ!ㅤこわいよ、急に『全力坂ーーー!!』って言いながら坂下りだして! 感情を一定に保ってくれ!笑」
「スーさんって、はじめて会ったときはフラットな人だと思っていたけど、けっこう感情豊かだよね」
「そうかも。21年と11ヶ月、気分屋な性格は治らなかったから、もう治らないわ」
「わたしも、この社交性のなさは治らない」
「お互いさまだね」
「下りてよかった~~!」
「日常生活をしていてこんなところ歩かないですよね」
「人の小ささを感じさせる巨大なものが好きなんだよねー」
「グランドキャニオン行ってましたね」
「そう。マチュピチュも行きたい」
「嫌な予感がする」
「行き止まりです!!!」
たまたま自転車で通りがかった人が、イヤホンではなくスピーカーで、B'zの『ultra soul』を流していたのが聴こえました。
「どれだけがんばりゃいい……」
およそ1km歩いてきた道を折り返します。脚が限界。
「下りたことでここに来れたからいいよね」
「そうだね」
「まだB'z笑える」
「誰もいないし、わたしたちも曲流そうよ」
「Jamiroquai の Virtual Insanity とかぴったり」
(わかった上で)「ソファ動くPVね」
(わかった上で言っていることをわかった上で)「床ね」
「ちょうどライブラリに入ってる」
「いいね」
「PVの一部になった気分」
歌詞の意味をわからないで聴いていたのですが、今改めて歌詞の意味を知ったあとで考えても「仮想狂気(Virtual Insanity)」という表現が合っている空間でした。
「バス乗りませんか?」
「乗ろう」
「乗ろう」
「俺たちが水歩く能力さえあれば葛西臨海公園着くくらい歩いてるから」
「それがなかっただけのことだから」
バス停まであと1km。
「お前ら走るぞ!」
「いや、無理~!!」
思わず、ロバート山本ばりの「イヤ、ムリー!!」が声に出ました。
つづく