2019年8月27日(木)
礼文島の香深(かふか)港に戻ってきました。
桃岩荘の旗を発見。ヘルパーさんが運転してくれる送迎車に乗り、桃岩荘へ。
前もって言いますが、この宿、とーっても「特殊」です。すべてのゲストが桃岩荘の文化を受け入れられるわけではなく、めちゃめちゃハマる人と、全く受けつけない人に、二分されるといいます。
わたしは、この宿を大学生協で売られていた「島旅」のガイドブックで知り、学生の間に泊まりたくて、この目で見て確かめたくて、あえてネットで情報を探し過ぎないようにして、礼文島に来ました。礼文島に来た最大の目的は、この宿に泊まることでした。
港から桃岩荘に行くまでの間に通るトンネルの中で、知性と教養と羞恥心を、丸めてぽいっと窓の外に捨てさせられました~
泊まれば、わかりますよ!
建物はかつて実際に使用されていた鰊(ニシン)番屋を改造したものであり、1870年頃の建築である。 昔ながらのミーティングが売り物である歌と踊りのユースホステルである。
Wikipediaより
というわけで、利尻島の郷土資料館で見た昔の漁師のおうちの模型と、内装の造りがほぼほぼ同じなのですよ。
ね!
ちなみにトイレは洋式で清潔です。
設備・水回りの問題はありません◎
歌詞の書かれた模造紙が大広間を囲う!!
ギチギチにタイムスケジュールが定められているため、夜~朝にかけては、自分の自由時間はない。
桃岩荘最大の特徴が 桃岩時間 です。
「桃岩荘の中に限り、日本の標準時より30分時間が進んでいる」というものです。
伝わりますか?^^:
実際は時差などなく、札幌も稚内も礼文島も、日本全国どこでも同じ、兵庫県明石市を通る東経135度の日本標準時子午線に従って同じタイムゾーンの中で生活しています
が、
桃岩荘エリアに限り、(架空の)時差が存在するという設定です。
例えば札幌が朝の7時だったら、桃岩荘は朝の7時30分ということになります。
つまり、上の表で言うと、
桃岩時間の6時30分(日本時間6時)に起床、
桃岩時間の22時30分(日本時間22時)に消灯
が決まっているということです。強制的にめちゃめちゃ規則正しい生活になります。
この30分刻みというのが厄介で、アナログの時計でもスマホの時計でもぱっと計算しにくいのですが、インドのデリーの時刻も世界各国の標準時に対して30分ずれています。ですから、そうですね、桃岩時間はデリー時間のようなものだと思えば、スッキリ解決できますね(?)。
▲ 日本標準時では6:00~22:00ということ
また、桃岩荘には暗黙の了解があります。それは、
「お仕事は何されてますか?」と聞いてはならない(聞かない方がベター)
というものです。昨年のほぼ日手帳にこんな言葉があったので、引用します。
人って、肩書きがわかると、あんまりなかよくなれないんですよ。
肩書きをなくした、ひとりで、何やってるかわからない、ただの人となって行きます。
そうすると、出会ってそんなに時間が経たなくても、なかよくなれるんですよ。
2019年9月29日 ほぼ日手帳 下段
ーー川島小鳥さんが『福井あわら温泉ぽかぽかカニ歩き』の中で
いよいよ、次回からが本編です。
2020年10月8日
久々にブログを書きました。これが1年前の話だとは思えません。もっと、ずっと、前のことの気がします。就職を目前に、昨年は生き急ぐように旅をしました。
桃岩荘は、今年はコロナの影響で開所できなかったそうです。
一昨年、ある人が教えてくれた、
「旅は行きたいときに行くのがいい。いつか行こうと思っていたら、行けなくなっちゃうかもしれないから」
という言葉を思い出します。その方はご友人の他界でそう強く思われたそうですが、2020年は新型コロナウイルスの流行で、世界中の旅好きがそう思ったのではないかなと思います。
昨年、わたしは桃岩荘に泊まれてよかったです。一方で、この宿が絶対になくなってほしくないなぁと思います。何十年後も同じ姿かたちであり続けてほしい。無形文化遺産のような宿でした。