ユトレヒト③ シュレーダー邸
今日は、世界遺産の「シュレーダー邸」を見学します!
朝9時45分、ザイストからバスに乗ります。
一服中のドライバーが格好いい。茶髪のドレッドヘアを束ねていてワイルドです。
「I would like to buy a bus ticket」
「I’m coming」
オランダのICカードは住所がないと作れないので、毎回運転手さんからバスチケットを買っていました。現金しか使えないところも多いので、クレジットカードだけでなくある程度現金も持っていた方が良さそうです。
ユトレヒト中央駅前で降り、シュレーダー邸を通るバスに乗りました。観光客っぽい人がちらほらいます。
シュレーダー邸は大きな建造物ではないので、1時間ごとにツアーを設けて、一度に入れる人数を制限しています。わたしは午前11時のツアーに参加します。
このバスが通る道に観光客が行きそうなところはシュレーダー邸くらいしかないから、この人たちも11時のツアーに参加するのかなぁ。
あ、あの女の人、すごく日本人っぽい!
失礼を承知でわたしの観察を記します。服装、雰囲気、首から下げたカメラ。バスを降りるときに運転手さんに「Thank you!」と言ったこと。そして、シュレーダー邸の最寄りのバス停で降りたこと。間違いない。
「Excuse me, Are you Japanese?」
あ、やっちまった。「Where are you from?」と訊くべきだった。日本人か、韓国人か、中国人か、シンガポール人か、ハーフか、クォーターか、全く違う国籍かもわからないのに、勢いで訊いちゃった。失礼だ。
「もしかして、あなたも日本の方?」
「はい!そうです!」
よかった……!
「もしかして、シュレーダー邸の11時のツアーに参加されますか?」
「はい、そうです」
「もし良ければ、一緒に行きませんか?」
「ぜひ!」
こうしてわたしは、同じバスに乗っていた日本人の主婦の方といっしょにシュレーダー邸に向かいました。
「今回はひとり旅なんです。ベルギーとアムステルダムに行ってきました。今日はユトレヒトを周って、17時にはアムステルダムに戻ってアンネの家を見て、夜にスキポール空港から日本に帰るんです。こうして日本語で話すのが久しぶりで、安心します。」
とその人は言いました。わたしも、久々の日本語にホッとしました。日本語を聞いたのはウェストミンスター寺院の音声ガイドの少年の声以来だ…。
おしゃべりに夢中でシュレーダー邸に気づかず、通り過ぎてしまいました。
こちらが「リートフェルト設計のシュレーダー邸」です!
2000年に世界文化遺産に登録されました。
わたしは世界遺産検定2級を持っているのですが、シュレーダー邸について2級の検定テキストにはこのように記載されています。
オランダにあるシュレーダー邸は、1924年に建築家ヘリット・トマス・リートフェルトが、ユトレヒトの銀行家の未亡人であるシュレーダー夫人の依頼を受けて設計した住宅。リートフェルトは20世紀初頭のオランダで起こった芸術運動「デ・ステイル」の中心人物である。
シンプルな線、面、色を組み合わせて幾何学的に構成され、抽象画家のピート・モンドリアンの絵画を思わせるこの邸宅は、近代建築の傑作のひとつであり、デ・ステイルで唯一現存する建築とされる。
シュレーダー邸という名前だけど、設計はリートフェルトさんだよ、っていうのがポイントです。
中に入ります!!
きれいなキッチン!そして、噂のジグザグチェア。無料の日本語音声ガイドによると、リートフェルト自身はこれを椅子とは呼ばず「ジグザグのやつ」と呼んでいたそうです。ふーん。
2階です! 美しい!!
緑豊かな場所を選んで建てたのに、周りがどんどん開発されていき、景観が失われてしまったそうです。これは、現在のシュレーダー邸が面している道路の風景です。
「原則として窓は黒、壁は白かグレー、垂直で、原色。」
「家具は鑑賞物ではない。実用的でなければならない。」
パタパタ仕切りが動く!
「からくり屋敷みたい」
トイレは普通。改めて、これは、1924年に設計された家です。
遊び心満載。
有名な椅子。子ども部屋だそうで。素敵!
この穴を通してリビングから息子の様子を覗くことができ、息子さんも同様にリビングを覗くことができるのです。
降ります。靴カバーをつけて歩いています。
シュレーダー邸の近くには、同じくリートフェルト氏が設計した集合住宅があり、そこも見学できます。
階段の傾斜がエグい。
再び「ジグザグのやつ」。
おしゃれソファの上には、ピエト・モンドリアンの絵が飾られています。
美しい。
以上、リートフェルト設計のシュレーダー邸でした。