ヘルシンキでやりたかったことは1日目にすべてやり尽くしたので、既に満足していました。
2日目はまじめな話、森でベリーを摘む予定でしたが、雨予報だったのでやめました。
さて、どうするか。
以前、ゼミの教授(専門は建築学)が、アルヴァ・アアルトの建築を見るためにフィンランドを訪れたことがあるとおっしゃっていました。ひとりの建築家の作品を見るために、日本からフィンランドまで足を運ぶ。アアルトのことはよく知らないけど、彼の作品はどれほど素晴らしいのだろう?と興味が湧きました。
というわけで、ヘルシンキ2日目はアアルト・スペシャルでいきます!!
10時40分にホテルを出発し、バスに乗りました。ホテルを遅くに出ましたが、アアルト自邸の開館時間は正午12時からだったみたいで、ちょうどよかったです(時間を確認せずに行った、危ない!)。
11時25分、バスを降りました。
ヘルシンキの何気ない通りは日本に似ています。
例えばこの通りなんか、北海道の田舎町っぽくて、いかにも農協がありそうだし、
反対側は、東京の代々木上原っぽいです。緑の感じが似ている気がします。
1.アアルト自邸(The Aalto House)
11時40分、到着。
周辺の家もオシャレだったので、どれがアアルトの家なのか、少し戸惑いました。
早く着いたので、他の客といっしょに外で待たされています。
裏庭を散策。
アアルトは、ヘルシンキ最大の本屋である、アカデミア書店の設計も手がけています。
わたしは12時からのツアーに参加しました。本来18ユーロ(2300円)のところ、国際学生証を提示したことで、9ユーロ(1150円)で入れました!ガイドツアーはすべて英語です。
アアルト自邸は1934年に設計された自宅兼事務所です。
戦前に設計されたとは思えないデザイン!
リビングです。コンセプトは「Flexible Structure」。
ピアノの上にある写真は、アアルトの最初の妻、アイノ・アアルトの写真。アイノも有名デザイナーであり、夫婦で家をデザインしました。
同じくピアノの上に乗っている、写真の右側にある茶色のランプは、仲が良かったデンマークのデザイナー、ポール・ヘニングセンの作品です。
ピアノの手前にあるメタルデスクは、20世紀にバウハウスで流行ったそうです。
窓際の観葉植物の並べ方がすてき!光の取り込み方も参考になります。
アアルトの代表作「サヴォイ・ベース」。
湖からヒントを得て作られた花瓶です。
キッチン。
日本からインスピレーションを得たものも多く、家の随所に簾や引き戸が見られます。
2階の部屋。談話室かな。
寝室。ホテルみたい。1934年にこれよ。
寝室の奥の、クローゼット。
2階の他の部屋。
ユニークなランプ!
以上、アアルト自邸でした。
2.アアルトのアトリエ(Studio Aalto)
訪れる予定はなかったのに、スタジオにも来ちゃいました。
自邸から約600m離れたところにあります。行ってよかったです。
ドアノブもアアルト独自のデザイン。アカデミア書店でも見られます。
わたしは13時30分からのツアーに参加しました。
自邸とセットで見学する人が多く、半数が同じ顔ぶれです。
地域に偏りなく、世界中から観光客が訪れています。
その日のスタジオのガイドさんは、表情豊かな明るい女性でした。
グレーの目、茶色い髪、グレーのニット。
ワインレッドのリップがすてきな方でした。
1955年から1956年に設計されました。こんな感じで使われていたみたいです。
資料室。
開放的な空間!!!
大きな窓と、並べられたスツール。
窓の外の風景。
1950年代にこのデザインは画期的だったと思います。2018年の今日でも皆がお手本にしたいと思うような、素晴らしいデザインです。
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帰りにバス停でバスを待つ間、オーストラリアから来た夫婦と目が合って、話しかけられました。
「さっきいましたよね?」
「どう思った?アアルト・ハウス」
おぉ、いきなり感想を求められた!
「数日前にオランダを訪れたのですが、そこで見た原色の建築とは全く異なりました。アアルトの建築はナチュラルでいいなぁと思います」
「そうだよね!」
ここで咄嗟に「あなたはどう思いましたか?」と、相手の意見も聞けばよかったです。こういう部分が、自分は機転が利かないなぁと思います。
その夫婦は北欧を3週間旅行しているのだそうです。コペンハーゲンからスタートして、ノルウェーでアイスフィヨルドを見て、入江でクルーズに乗り、それからフィンランドに来て、今日アアルトの建築を見たそうで、明日帰るそうです。アジア人は短期間にギュッと旅程を詰め込むことが多いですが、欧米の方はゆったりと長期間の旅程を組む傾向があります。
バスで市街地に向かいます。