チェコに着きました。
旅行前の話
今回、長旅を共にするTさんは大学の友人です。本と映画と音楽を愛し、中でも村上春樹の作品を愛読しますが、他の作家の作品も万遍なく読んでいます。ミズベログには「無限土手歩き部:江戸の運河編」の同期として既に登場しています。
旅行中、わたしは暖色のコートを着てオレンジのマフラーを巻き、Tさんは寒色のコートを着てネイビーのスヌードを巻いていたので、今回のシリーズではわたしのことばはオレンジで、Tさんのことばは青色で記します。
Tさんとはいろいろな場所に行きましたが、会うのはいつも都内です。国内旅行すらしたことがありません。それなのに、いきなり、海外で、12日も、過ごすのです。
仲のいい友だちでも10日も一緒にいればうんざりしてきて、帰る頃には険悪な雰囲気になり、それから二度と会わなくなるのではないかと懸念しなかったわけでもありませんが、それは杞憂でした。それよりも「空港に間に合うかな」「両替所まだやってるかな」「途中でスーツケース壊れないかな」とかの方が心配でした。
スーツケースの鍵が折れている
家を出る直前にスーツケースを閉め、2つある鍵の片方にヒビが入っている、というか、折れていることに気がついたのです。ハイパー不吉なものを見てしまったと思いました。今回のスーツケースは母から借りたもので、2週間前に母が平然と使っているのを見ていたので、まさか壊れているとは考えもしなかったのです。
今度こそ家を出ようと、閉じたスーツケースを持ちあげました。
「なんだこれ阿保みたいに重いな!!」
Tさんよりも、スーツケースと2週間上手くやっていけるかの方が不安でした。
出発の5日前になっても実感が湧かず、荷物の準備もできずに、卒業論文の執筆に追われていました。「どうやら中欧に行くらしい」とまるで他人事で、寝不足と疲労感をたっぷり蓄積して当日を迎え、バタバタと出国しました。
Wi-Fiは1台しか借りていません。グローバルWi-Fiの4G保険未加入でひとり当たり4,680円。したがって「今日は別行動にして夕食だけ一緒に食べよう!」ができないということです。Wi-Fiによって、わたしとTさんは運命共同体になりました。
プラハ国際空港に到着
入国審査を通ります。検査場で通話禁止、写真禁止は理解できます。その隣に拳銃禁止のピクトグラム並べます!?
チェコの入国審査官は一言も発しませんでした。「渡航目的は観光です」と目で伝えました。
空港で€40(約5,000円分)を両替。1,018Kc(チェココルナ)になるはずが、723Kcに。日本円で約1,400円分の損失。昨日も成田空港で両替損しています。以来、旅行中はデビッドカードで現地キャッシングをするようにしました。
空港から市街へ
1日目 12月15日(日)11時24分
空港からプラハ本駅まで直行の「エアポート・エクスプレス」というバスに乗りました。値段は60Kc(約285円)で所要時間は35分。
窓側の特等席を陣取りました。Tさん、ぬるっとはじめてのヨーロッパに上陸です。
「感情が処理しきれない」
「来ちゃったなー(笑)」
かわいらしい家がぽつぽつと出てきました。落書きが多いです。かわいらしいのと、治安が悪そうなのが、ごちゃ混ぜになっています。
Tさんが複雑な感情を整理して教えてくれました。
① カフカがここで暮らしたんだなということが伝わってくる
② 一つ一つの建物は綺麗で可愛いんだけど「どうだ可愛いでしょ」という感じではなく、ただしれっとあるのが伝わってきて、それが良い
③ 初ヨーロッパということもあって、ヨーロッパの華やかさを期待していた自分がいるので、そことのギャップに苦しみ、せめぎ合っている
Tさんは卒業旅行で来月パリとローマに行く予定ですが、正直、この旅行と順番が逆だったら良かったのに! とわたしは思いました。Tさんの初ヨーロッパがプラハで良かったのか、わたしにも自信がなかったのです。
ところが!
歴史地区は、歴史地区でした。
きちんと、ヨーロッパでした。
「おおおーおー」
バスはどんどんプラハ本駅に近づきます。
橋だ! モルダウ川だ!
わたしは口をあんぐりと開けて窓の外の景色を眺めていました。感動がゆるやかに、じわじわと込み上げてきました。Tさんも「複雑だ」と言いながら嬉しそうな顔をしていました。目がきらきら輝いていました。
プラハ本駅
12時20分、プラハ本駅にいます。コインロッカーに荷物を預けて駅構内のスーパー「BILLA」へ。
KOBLIHA S OVOCNOU という
チェリージャム入りのドーナツ(5.9Kc≒¥28)と
KAISERKA CEREALNI という
セサミパン(3.9Kc≒¥18)と
フルーツの盛り合わせ(59.9Kc≒¥287)で
合計69.7Kc(¥346)でした! パンが安い!
買ったパンをスーパーの前で立ち食いしている人たちが何人かいたので、わたしたちも同じようにむしゃむしゃ食べて昼食を済ませました。友人に教えてもらった飲食店は、この日は定休日でした~、残念。
プラハ本駅前でやる気のないクリスマスマーケットが行われていました。スルーします。
一歩歩いては写真を撮ってしまう……。
上の写真にはプラハらしさがよく表れていると思います。綺麗な建物と溢れる落書き。
トラム。
クラシックな車。
『カーズ』っぽい。
アールヌーヴォー様式の市民会館。
憧れのクリスマスマーケット
15時。世界遺産の旧市街広場でクリスマスマーケットが開催されていました!
今回の旅で各都市のクリスマスマーケットを巡ることを心から楽しみにしていたのですが、昼に勢いよく食べたフルーツの盛り合わせや、内臓から冷やされるようなプラハの冬の寒さによって腹痛に見舞われ、楽しむ余裕はありませんでした。
とりあえず聖ニコラス教会を見学……。
つづく